動作順序  図71~72
体  重心を右足に移しながら、体を右に回す。
足  
左足先をあげて内側に入れ着地する。
手  
右手を右にまわし、両手を左右に分け開く。両掌心を外側に向ける。
目 
右手を見る。

動作要領  「右攬雀尾」図71~72
重心を右足に移しながら上体を右に回す動きにあわせて、右手は顔の前を通り右外側に弧を描いて広げ、左手は左外側に伸ばす。
両手を分け開いて、掌心を外側に向けて左右対称に張り出す。
両手を横に分け開く時は、肘を少し横に張り出す。
分け終った時は、月寸を少し下に沈めて、腕を下向きの弧形にし、手首は沈めて座腕にする。
転身する時、腰がねじれたり臀部を突き出したりしないようにし、上体は中正に保つ。
図72では、右股関節を折り込んで、重心を右足に十分にかけ、左脚はゆるめて自然に伸ばし、重心の転換をはっきりと行う。
左足は踵を軸にして、足先をできる限り内側(右側)に回し入れる。

注意事項   図71~72
体重を右に移す時、上体が前傾して臀部を突き出したり、また、立ちあがって上体が後ろに傾いたりしやすいが、右股関節をゆるめて右膝を曲げた状態を保つこと。
右腕は棚勁を保ち、右肘、右肩をあげないよう注意。
右肘は少し横に張り出して、分け開く力を表わすが、手首より少し低い位置を保つよう注意。肘と手首が同じ高さ(水平)になると、肘。肩があがった状態になってしまう。
左足先は90°以上内側にまわすこと。

図57~70右橋雀尾の掤・捋・擠・按の四種の動作を行う時、一つの動作を完成させる時には沈着に落ち着かせて充実させ、次の動作に移行する時にはゆるめて軽快におこなうようにする。
速度が均一で、動きにむらが無いように行うが、各々の動作の中に「実」の動作と「虚」の動作があることも意識して行わなければならない。棚の動作は図61、捋は図63、擠は図66、按は図69、70がそれぞれ「実」の動作で、その他は「虚」の動作である。「実」の動作は意識を集中してゆっくりと沈着に行い、「虚」の動作は軽快にのびやかに行なう。
速度を均一に、動きにむらが無く行うことと、「実」を沈着に、「虚」を軽快に行うことは、矛盾する要求ではない。
重心をコントロールして手・足の動きを協調させるように意識を配り、全体としてゆっくりした速度で行うことは、太極拳の基礎技術に相当するものである。「ゆっくりと均一な速度」は、物理的に言い表される時間速度である。
上肢と下肢の動きをコントロールする(上下協調)ことができる基礎に立って、動作の「実」の部分
を充実させ、「虚」の部分を軽快に行うことは内面的な意識の表現であり、「実」と「虚」を適切に組み合わせることにより、自然で生き生きとしたリズムが生み出されるのである。
虚実の表現は基礎技術の上に立った応用技術であるので、重心のコントロールや上体の中正などが正確に行えない段階で、虚実を無理やり表現しようとしても、不自然で不当なものになってしまう。しかし、動作の基本要領がある程度身についた段階では、徐々に動作の虚実を考えながら練習し、「意識と動作の協調(内外合一)」に近づいてゆくべきである。
土台の基礎技術が優れている程、虚実の表現は自在に行えるものであるが、また、意識の働きによって基礎技術も錬磨されるものだからである。

動作順序  図73~74
 重心を左足に移しながら、体を左に回す。
 右足を左足の内側に寄せる。
 左腕を曲げ、左手を胸の前に収め、肘を少しさげ、掌心を下に向ける。右手は腹の前を通り、左下に弧を描
き、左手の下で掌心を上に向けてボールを抱える。
 左手を見る。

  図75~85
図60~70と同じ。但し、左右の動作が逆になる。

動作要領  図73~74
左股関節を折り込んで、重心を左足に移し、体を左に回す。
右手を下におろし、続いて前腕部を外旋させながら肘をゆるめて曲げ、掌心を上向きに返して腹前に収める。
左手は、肘を曲げて胸前に収め、掌心を下向きにして、右掌と上下で向いあわせて「抱掌」にする。
右手を収めるのにあわせて、右足を左足の内側に寄せる。
目は左手の前方を見る。

図75~85
右攬雀尾の動作は、図60~70の左攬雀尾の動作と同様の要領で、左右を反対に行う。但し、図76で、左踵は弓歩になるのにあわせて、後方に蹴り出して、右足先と左足先が10~15cmになる位置に右足を調整する。

注意事項  図73~74
上体が左後方に傾きやすいので、左股関節を折り込んで中正を保つこと。
左膝を内側に入れないよう注意。
左肘をあげないようにし、また、左手の動きが止まらないよう注意。

図75
右踵を着地する時、両足の横幅が狭すぎたり、交差したりしないよう、また反対に、広過ぎないよう注意する。両足の横幅が10~15cmになる位置に右足を着地。


図75~85
図60~70の要領、注意事項を参考。