動作順序  図57
体  
体を少し右に回す。
手  
右手を右後方上に、弧を描いて肩の高さまであげ、掌心を斜め下に向ける。左手は下にさげ始める。手首は自然にゆるめ、掌心を斜め下に向ける。
目  
視線を右方向に移して行く。

動作順序 図58~59
 体を少し右に回す。
 左足を右足の内側に寄せる。
 右腕を曲げ、右手を胸の前に収め、肘を少しさげ、掌心を下に向ける。左手は腹の前を通り、右下に弧を描
き、右手の下で掌心を上に向けてボールを抱える。
 右手を見る。

動作要領
7.「左瓶雀尾」(ズォランチュウウェイ) 図57~59
上体を右に回すのにあわせて、右手は弧を描いて右後方に肩の高さまであげる。続けて掌心を下向きに返して胸前に引き寄せる。同時に左手は、下におろし、腹前で抱え込むようにして掌心を上向きにする。
「抱掌」にして、同時に左足を右足の内側に寄せる。
両腕は弧形を保ち、肩を沈める。両腋下に隙間を保ち、 上体を中正にする。
顔は正面(起勢の方向)に向き、右手の前方を見る。

注意事項 図57~59
右膝を曲げ、股関節を折り込んだ状態を保ち、立ちあがらない。
図57、58で上体を右後方に傾けたり、また図59で前傾したりしない。
体の右回転に伴い、右手は斜め後方、左手は下方へと降ろしてから抱掌するが、図58で左肘が伸びきらないよう注意。
図59の抱掌の時には左腋下に間隔を保ち、右手は「F事の高さを越えず、右肘をあげないこと。

動作順序 図60
体  
体を少し左に回す。
足  
左足踵を左前方に着地させる。
手  
両腕を分け始める。
  右手を見る。

     図61
    重心を左足に移しながら、体を左に回す。
    左足先を着地させ、右脚を蹴り伸ばし、左弓歩となる。
    左腕を上に、前に向けて胸の前に張り出し、掌心を内側に向ける。
右手は右股関節の横におろして、掌心を下に向け、指先を前方に向ける。
  前方を見る。

 

動作要領    図60~61
「棚」の動作は、_L体を左に回し、左足を上歩し、弓歩となるのにあわせて、両手を前後に分け開いて完成させる。
左手は掌心を内側に向けて、前方胸前に腕を弧形に張り出す。右手は後方下に引きおろして、右股関節のそば、わずかに前で掌心を下に向けて下方を押える。
勁力は左手の掌背と前腕部外側に達し、右手の掌根に達する。
棚の手法と弓歩は同時に完成させ、 上下を一致させる。
上体と腰は、少し右斜め前方に向くが、勁力の向かう方向は、弓歩の前足先と同じで、前方に向いて推し出すようにする。

図60~61の「棚」、図62~“の「捋」、図65~66の「擠」、図67~70の「按」の手法について、第1章の「手法」の項を参照して動作の要領を理解する。
図57~70の左橋雀尾の動作が完成した時、歩型は「順弓歩」(横幅は約10~15cm)である。
弓歩が前後に広い歩幅をとり、重心を前後に移しながら動作を行うため、上肢と下肢の協調を失いやすく、腰や臀部もねじれゃすい。
腰と上体の回転や重心移動にあわせて手法を行って、上肢と下肢を協調させ、「上下相随」を保つこと。また、
上体を中正に保って行うことが大切である。

注意事項  図60、61
上体を前傾させない。臀部を突き出さない。両腋下に隙間を保つが、左肘があがりやすいので注意。
「棚」は肘を横に張り出して行うが、肘の位置は手首よりも低くする。
左手首が「折腕」になりやすいので注意。左腕の弧形は、肘を曲げ、肩関節をゆるめて前腕部と胸部を前後に引き離すようにして作る。
手首を折り曲げても、腕の弧形は作れないことを理解すべきである。
右手は、右股関節の真横や後方に置くと、右肩が前に突き出してしまうので、体のわずかに前方、横で下に押える。
押える動作は、手首だけを曲げて押えると、月寸・肩が突っ張てしまう。
肘をゆるめて下に沈め、腕の弧形を保って柔らかく押える。
足の横幅を広くとり過ぎない。野馬分髪とは身法、手法が異なる。棚勢については第1章の「手法」の項を参考。
「太極是棚勁、動作是螺旋」(太極は棚勁であり、動作は螺旋に動く)と言われるので、構雀尾をおろそかにしてはならない。


動作順序 図62
体  
体を少し左に回す。
手  
左腕を内旋しながら前に伸ばし、掌心を斜め前方下に向ける。
指先は目の高さを越えない。右腕は外旋しながらLに、左肘の斜め下にあげ、掌心を斜め上に向ける。
目 
左手を見る。
図63
  重心を右足に移しながら、体を少し右に回す。
  両腕を同時にドに向けて引き込み、左手は胸の前、右手は腹の前までおろす。
  左手前方を見る。

動作要領    図62
上体を左に回すのにあわせて、右手の座腕をゆるめ、両手の掌心を返しながら左斜め前方に伸ばし出す。
左手は内旋して掌心を前方斜め下に向け、右手は外旋して、左肘の下で、掌心を斜め上に向ける(左掌が相手の右腕上腕部または肘関節部に触れ、右掌は相手の右手首を持つことを想定した動作)。
上体は中正を保つ。右足踵が浮き上がった|り、虚の状態にならないようしっかりと踏みしめておく.

図63~64
重心を後方に移し、 11体をわずかに右に回してゆくのにあわせて、両手を後方斜め下に引き込むようにして押さえる(「捋」の動作)。
さらに続いて重心を後方に移し、主体をさらに右に回すのにあわせて、左手は下におろして指先を斜め下に向け、続いて前腕部を小さく外旋させて掌心を内側に向け、腹前までおろす。肘をゆるめて、曲げて腕を弧形にして棚勁を保つ。
右手は、右股関節の横を通り、後方斜め上に大きくはらいだし、掌心を斜め上に向ける。 「棚」は、相手の力を受け流し、相手の力を借りて引き込んで、相手の体のバランスをくずすように行い、両腕は少し曲げて弧形を保つ。
後足に重心を移した時、上体は大きく右に回す。
右股関節を折り込んで、しっかりと臀部を収めて中正を保つようにする。

目は、図63では左手前方を平視し、図64で右手を見る。

注意事項  図62
体はわずかに左に回すのであり、回し過ぎてはいけない。また、体を回さずに単に両手を前に伸ばしてはならない。
股関節をゆるめて両手を前にさし出すこと。
手首をゆるめるが、両手の指先を下に向けて垂らしたり、また、左手首をこねまわしたり(「腕花」状に)しない。

図63~64
「捋」は両肘を伸ばしたまま引き込んではならない。両肘をゆるめて沈め、下に、右に引き込む。
右股関節をゆるめて折り込んで体を回し、上体の中正を保つ。
上体を右にねじらないよう、左肩があがらないよう注意。
右膝は右足と同じ方向に保つこと。内側に入ったり、外側に開いたりすると膝に余分な負担がかかるので注意。
左足も股関節をゆるめ、膝をゆるめて前方に向けておくこと。
上体がねじれやすいので、しっかり「後坐」すること。
右足踵を動かさないよう注意。
図63の「捋」の動作では、両掌の距離を一定に保って引き込む。この動作で右手が左手より大きく動くのは誤り。
図64では、左手は小さく回し、右手は大きくはらい出す。
図64では、左腋下に間隔を保ち、左腕の棚勁を失わないよう注意。

動作順序  図66
 重心を左足に移す。
 右脚を蹴り伸ばし、左弓歩となる。
 両腕を前に推し出す。
 前方を見る。

 図67
両手を左右に、肩幅の間隔と同じになるように分け開き、両掌心を下に向ける。

動作要領  図66
重心を前方に移して弓歩となる動きにあわせて、両手を弧形に合わせた状態で前方胸前に広げて推し出す
(「擠」の動作)。
上体の中正を保ち、両腕で推し出す動作と弓歩の動作を協調一致させる。
弓歩が完了した時に、両腕で弧形を保ち、推し広げる動作を完了して、上下を一致させる。
肩を沈めて腋(肋骨部分)をゆるめ、胸をゆるめてわずかに含み、背中を伸びやかに広げる。
勁力は、左手の掌背と前腕部外側に達し、右手の掌根に達する。
上体は前方に向け、勁力もまっすぐ前方に向ける。

図67
両腕をゆるめて前に伸ばし、肩幅の間隔に広げ、掌心を下に向ける。

注意事項   図66
重心が左足に偏らないよう、股関節をゆるめて中正を保つ。上体が前傾しやすいので、特に注意。
両腕を前に推し広げて弧形を大きくするが、下肢の動き(弓歩)と協調させること。腕が推し終らないのに、弓歩が完成してしまってはならない。
反対に、腕だけを前に伸ばしてもいけない。
弓歩の完成時に、両腕が次の分け開く動作に移るのも誤り。
左手首を「折腕」にしないよう注意。

図67
両手を分け開いた時、上体は胸を含み、腰と股関節をゆるめて「後坐」の準備をする。
単に両手だけの動きにならないよう注意。
両手の間隔を空け過ぎないこと、また反対に、肩幅の間隔より狭くしないこと。
両肘を横に向け、月寸。肩が上にあがった状態にしてはならない。肘をゆるめ、肘頭を下に向けること。

動作順序  図68~69
体  
重心を右足に移す。
足  
左足先をあげる。
手  
両肘を曲げて、両手は肩幅の間隔を保ち、胸の前から下に、弧を描いて腹の前まで引きおろして、押さえる。
両掌心を前方斜めドに向ける。
目  
前方を見る。

 図70
 重心を左足に移す。
 左足先を着地させ、右脚を蹴り伸ばし、左弓歩となる。
 両手を前に、上に弧を描き推し出し、手首を沈め、掌心を前に向ける。指先は日の高を越えない。
  前方を見る

動作要領  図68~70
上体を前方に向けたまま重心を後方に移すのにあわせて、両手を胸前に引き込み、続いて弧を描いて腹前におろし、両掌で下方を押さえる(「下按」の動作)。
次に、重心を前方に移して弓歩となる動きにあわせて、両手を下方から前方胸前に推し出す(「前按」の動作)。
勁力は、両手の掌根に達する。
両手は肩幅にそろえて引き込み、そろえて推し出すように行う。両手の幅を肩幅より大きく広げたり、肘を横に張り出して、引き込んだり、推し出したりしないようにする。下に押えたり、前に推し出す方法は、肘を下に沈め(肘頭を下に向ける)て行わなければならない。
また、引き込んで両手で下方を押さえる時には、腰を浮かしたり臀部をねじったりしないようにし、上体が前傾したり、臀部を後ろに突き出したりしないようにする。
両掌で下を押さえる時は、主体を中正にして後方に座らせるようにし、両掌で推し出す時には、前方にまっすぐに勁力が向かうようにする。

注意事項  図68~69
上体を後ろにのけぞらせたり、臀部を後方に突き出して、 ll体を前傾させない。 また、体重が右足にかかるが、 右側に偏らないよう注意。左膝を伸ばしきって突っ張ってしまうとこのようなことが起きるので、左膝をゆるめて、わずかに曲げておく。
股関節を折り込んで中正を保つ。
図69で腹前に両手を引き寄せて押さえる時、路線は弧形を描く。
両手を腹より下にさげ過ぎないようにする。また、両肘をあげたり、横に開かないよう、体の後ろに引き過ぎないよう注意。
下肢の動きが先に終わってしまいやすいが、上下の動きを協調一致させること。
日は前方を平視して、下を見ない。

図70
下肢の弓歩と上肢の両手の「按」の動作は、上下協調一致させること。両手の路線は弧形を描く。
両手間の幅は肩幅を越えないよう注意。
「按」の動作が完了した時、上体を前に傾けないよう注意。上体は必ず中止に保つ。
右踵はしっかりと蹴り出して、足裏全面を床につけて実の状態を保つ。踵の外側が床から離れてはならない。