16.左下勢独立

動作順序  図130~131
体  
体を少し右に回す。
足 
蹴り出した左足の膝を曲げもどし、左足先を自然に垂らす。
手  
左手は右に弧を描いて、顔の前を通り右肩の前に達する。掌心を斜め下に向ける。
右手は右斜め前方で、鉤手に変える。
目  
鉤手を見る。

動作要領  図130~131
蹴り出した左足は、足先→足首→膝の順に徐々にゆるめながら、ゆっくりと収めて、右小腿部の内側に寄せる。
同時に、体をゆっくりと右に回すのにあわせて、左手は右に向かって弧を描く。
右手は、左手が右に向かってくるのに近づけるように内側(左側)に移して、右斜め約30~45°方向に腕を伸ばして釣手を作る。
左手は右前腕部の内側にそえて、掌心を斜め下に向ける。左腕の弧形を保つ。
左足を収める動作と、左手が右前腕部に至る動作が同時に終るように協調させる。左足だけを急に収めたり、左手が遅れないように注意する。

注意事項  図130~132
左足を横に出す時、体は、釣手の方向に向けたまま、左足を後方に出すような気持ちで行うと足を出しやすい。
〔第1章の3。歩型の5)仆歩と2.手法の6)穿掌を参照。

動作順序  図132
足  
左足を左側の横に伸ばし出し、足先を内側に向けて着地させ、つづいて、踵を着地させる。右足の膝を曲げる。
手  
左手を右胸の前におろす。
目 
鉤手を見る。

動作要領  図132
右膝をゆっくりと曲げて上体を沈めながら、左足を左横に伸ばし出す。
左足の足裏が床面に触れないように伸ばし出してから着地し、足先を内側(起勢の真裏の方向)に向ける。
左足は、次の動作の方向に対して、右踵と左足先が一直線上になる位置に置く。
両足が、次の動作の方向に対して交差したり、横幅が開き過ぎたりしないように注意する。
右鉤手と体は、右足先の方向に向けたまま変わらず、左手を胸前におろす。
日は鉤手の前方を見る。
左足を左横に伸ばし出す時に、体を左に回したり、目が下を見たりしないよう注意する。
股関節をゆるめて腰を沈め、背中を伸びやかにする。

動作順序  図133
 体を左に回す。
  右足は膝を曲げて、しゃがみ左イト歩となる。
 左手を下に、左に弧を描いておろし、左脚の内側を通って、前方にさし出す。掌心を返して右側に向ける。
指先を前方に向け、左足首に近づける。
 左手を見る。

動作要領  図133
股関節をゆるめて、体をさらに少し下に沈めながら、左手は柔らかく下を押えるようにして腹前におろす。
上体を徐々に左に回しながら、左手は、手首をゆるめて指先を斜め下に向け、体が回るのにあわせて外旋させて掌心を右側に向け、指先を前方に向ける。
つづいて、左手は、指先を差し込むようにして、左脚の内側に沿って足首の近くまで伸ばし出す(「穿掌」)。
掌心を右に向けたままで、手首・肘・肩をゆるめて少し沈め、左腕全体の弧形を保つようにする。
右鉤手は耳の高さに保つ。右鉤手と右膝は右足先とほぼ同じ方向に向ける。
体が左に回るのにつれて、右膝が内側(左側)に入らないよう注意する。
上体は左手の伸びている方向に少し前傾してもよいが、臀部を突き出したり、背中を丸めたり、頭をさげたりしてはいけない。

図注意事項  133
左手の「穿掌」は腰の高さに応じて自然に行う。腰が高い人が左手を無理やり足首の近くまで低くおろすと上体の姿勢が崩れるので注意する。

動作順序  図135~136
 重心を左足に移しながら、体を左に回す。
 左足先を外側に開き、膝を伸ばして、左独立歩にする。
右足は左足の内側を通り、右膝をLに持ちあげる。足先を自然に垂らす。
 左手を下に向かって押さえ、左股関節の横に収める。掌心は下に向け、指先を前に向ける。
右鉤手を前に、上に弧を描いて払いあげながら、鉤手を掌に変えてゆく。鉤手は右膝の横で掌に変わり、掌心を左に向ける。指先は目の高さを超えない。
 右手前方を見る。

 

動作要領  図135~136
体を徐々に左に回すのにあわせて、左足の踵を軸にして、足先を外側(左側)に開き、前方左斜め約30°に向けて足裏全面を着地する。
左手を下におろしてゆく。右鉤手は体の右横を通り、前方に、上に弧を描きながら、手首をゆるめ鉤手をゆるめてほどき、徐々に掌に変えてゆく。
つづいて、右手は掌をゆるめて広げ、指先を伸びやかにして、掌心を左側に向けて、上に向かって顔の前まではねあげる(「挑掌」)。
左手は胸の前で、あがってくる右手と交差して、下に押さえおろす。
右足を引き寄せ、右手が上にあがるのに引っ張られるように、右膝を右腹前に引きあげる。
同時に、左足の膝を伸ばして立ちあがる(「独立歩」)。
右手は指先が目の高さで、掌心を左に向ける。
右肘と右膝を上下で近づける。勁力は、「挑掌」の動作の時には右手前腕部撓骨側にあり、動作の定式時(独立歩の完成時)には右手の掌根と前腕部尺骨側にある。
左手は、左股関節の横で下方を支えるように押さえる。勁力は掌根にある。
体は前方左斜め方向に向ける。
頭を上に持ちあげ、肩。肘をゆるめて沈める。背を伸びやかにして、腰・股関節をゆるめ、安定して立つ。

注意事項  図135~136
右膝を引きあげる時、左足先を進行方向やや外向きにして、上体をわずかに左にまわし、右腕はわずかに曲げて、上に挑掌し、膝と肘が上下で相対する。
独立歩の時、腰がゆるみ、中正で安定していなければならない。定式で体は斜め左を向く。
体を正面に向けてはならない。