動作順序 図111
  重心を左足に移しながら、体を少し左に回す。
 右足踵をあげ、右足を半歩前に寄せ、足先を着地させる。
  両腕を自然にゆるめる。
 左手を見る。

動作要領  12.「高探馬」(ガオタンマー)
「跟歩~虚歩」の歩法と歩型の基本要領は、自鶴亮翅と同じ。
図111
重心を左足に移し、上体は中正を保って、少し左に回しながら、右足を半歩寄せ(眼歩)、足先を着地する。
上体の動きを止めて、膝を伸ばして臀部を持ちあたり、上体を前に傾けて「眼歩」を行うのではなく、腰を回し、「身法」の要領にあわせて行う。
左手は座腕をゆるめて、前方に伸ばし出し、右手鉤手の手首を少しゆるめる。

注意事項  図111
後ろ足を前に半歩寄せる時、左股関節を折り込み中正を保つ。腰の左転を伴わず、右に腰を開いたまま寄せたり、膝をグラつかせて寄せないこと。
姿勢が高くなりやすいので注意。手首をゆるめること。

動作順序  図112
 体を少し右に回しながら、重心を右足に移す。
 右足踵を着地させ、足先を約45°外側に向ける。左足腫をあげる。
 左手は掌心を斜め上に向ける。右手は鉤手をほどき、掌心を斜め上に向ける。
 視線を右方向に移す。

動作要領   図112
重心を右足に移し、上体を右に回しながら、右手の鉤手をゆるめてほどき、掌心を斜め上に向ける。
肩をゆるめ、肘をゆるめて沈め、腕を弧形にする。
同時に、左手は掌心を返して、斜め上に向ける。
両腕は倒巻肱と同様に、両腕全体で、大きくゆるやかな弧形を保つようにする。
体は右約45°の方向を向く。日はことさらに右手を見るのではなく、体が右に回るのにあわせて右に視線を移す。

注意事項  図112
右足に体重を移す時、右股関節を折り込み、体を右に回して自然に顔を右方向に動かす。
右肩、右肘をあげないよう注意。
姿勢が高くならないように、右股関節を折り込んで沈める。


動作順序  図113
 体を左に回す。
 左足先をあげ、足先を少し前に移して着地させる。
 右腕を曲げ、右手は右耳の横を通り前方に推し出す。
掌心を前に向ける。指先は日の高さを越えない。左手は下に、弧を描いて左腹の前におろす。掌心を上に向ける。
 右手前方を見る。

動作要領  図113
重心を右足で支え、 L体を左に回すのにあわせて、右手は、肘を沈めて指先を耳のそばに近づけ、掌心を斜め内側に向ける。ひき続き体が回るのにあわせて、右肘をゆるめて沈め、掌心を前に向けて、前方胸前に推し出す(「推掌」)。
左手は掌心を上に向けて、肘を沈めながら左腹前に引きおろし、掌背と前腕部で下を押さえる。
右手の推掌と、左手の押さえ、沈める力のバランスを保つ。
頭部を持ちあげ、背を伸びやかにして、臀部を収めるが、股関節をゆるめて下に沈め、上体が浮かないよう気を付ける。
体は前方やや左斜めに向き、右肩を左肩より少し前に出して推掌をする。
手法が完成する時に、左足先を少し前に出して着地して虚歩となり、上下の動作を一致させる。
勁力は右手掌根に達する。

注意事項  図113
虚歩を正確に。腰は正面よりやや左に回し、右肩をゃゃ前方に出して右掌に勁力が届くようにする。
上体だけで右肩を出そうとするとねじれを生ずる。
腰をゆるめて左股関節を折り込むようにすると無理なく右肩は左肩より出てくる。
虚歩(左足先は前方に向けること)で右手を前に推し出す時、重心が上にあがりやすいので注意。
左腕の弧形が鋭角にならないよう肘を下に沈める。
右手で推し出す推掌の動作につられて、体重を左足に移さないように。

高探馬は動作名称が中国語で「馬の背に触わる」という意味合いから、完成動作で姿勢を高くしたり、右掌の指先を横に向けて掌外沿で相手の`のど'を打つ「切掌」の動作をする方法もある。
中国の伝統楊式のなかで行われている方法である。
しかし、24式太極拳の動作要領では採用されていない。中国語の動作名称は、動作の形態を象徴的に言い表わしているものが多く、実際の勁力の運用とは必ずしも一致しないことがあるので注意を要する。
24式太極拳の動作要領と伝統楊式太極拳の動作要領を混同しないように。この動作の勁力はあくまで推掌で発揮し、相手の胸または顔面を推すもの。
動作の完成時には、左足が前にある虚歩で、上体をわずかに左に向けるので、右膝が内側に入りやすいので特に注意を要する。
股関節を折り込んで沈め、重心を右足裏の前部内側ではなくて、踵側、外側にかけるよう心掛けて、全面着地する。