動作順序 

 

 

 

 

動作要領
6.「左右倒巻肱」(ス゛オヨウタ゛オジェンゴン)(1回目)
図40~41 上体を右に回すのにあわせて、右手は、掌心を斜め上向きに返しながら弧を描いて、右股関節の横を通り、右後方、上に運び、肩の高さまであげる。右腕は、右後方約45°の方向にあげる。顔は起勢の方向に向ける。左手は、掌心を斜め上向きに返す。右腕を右後方に開く動作は、肩→肘→手首の順に行い、右腕を上に持ちあげる動作は指。手首が
先行して大きな弧を描く。体を右に回し終る時に、右腕をあげ終るよう、体と腕の動作を協調一致させること。
両腕は、肩を沈め肘をさげて弧形にし、胸をゆるめて背中を伸びやかにし、ゆったりとまるく広げるようにする。
股関節を折り込んで沈め、重心を右足で支える。左脚はゆるめて膝を前に向けた状態を保つ。

注意事項 図40~41
右股関節を折り込み、腰を右に回す。右手は外旋させて弧を描いて引くが、右肘を曲げすぎて腕の角度が鋭角にならないよう注意。右手は腰の高さではなく、股関節のそばに引きさげ、続けて右斜め後方に回す。あげた右腕の方向は、右後方約45°。体の回る範囲以上に右腕を後方に開き過ぎると、右肩が突き出し、含胸抜背の姿勢が崩れるので注意。
左手は腰の右回転にともない前に伸びる。
左膝はゆるめて前に向ける。腰の回転につれて膝が右に引っ張られたり、伸ばしたりしない。

動作順序 図42
体  
体を少し左に回す
足  
左足をあげ、膝を曲げて、右足の内側に寄せる。
手  
右腕を曲げ、右手を右耳横に近づけ、親指を斜め上に
向ける。
目  
視線を前方に移して行く。

 

 

 

動作要領 図42
上体を左に回すのにあわせて、左足を右足のそばに引き寄せる。同時に、右手は腕を曲げて肘を下げ沈め、指を右耳横のそばに寄せる。左手は少し引きさげる。
右足を曲げて重心を支え、上体が立ち上がらないようにする。

注意事項 図42
右膝を曲げたままにし、立ちあがらない。左足は足首をゆるめ、右足のそばへ寄せる。
右手は右耳のそばに。耳の高さを越えない。左手は肘を下に沈めるようにして、わずかに引く。

動作順序 図43
体  
体を少し左に回す。
足  
左足を後方に退げ、左足先を着地させる。
手  
右手を右耳横から右胸の前方へ移す。
目  
前方を見る。

 

 

動作要領  図43
上体をひきつづき左に回すのにあわせて、左足を後方に一歩退げて足先から軽く着地させる。右手は胸前に運び、左手を少し引きさげる。両手の掌心が前後で向い合う。
右足は曲げて重心を支え、上体が前に傾いたり、立ちあがったり、重心を左足に移したりしないようにする。

注意事項 図43
「退歩」は上体が前傾しやすいので注意。腰を回すのにあわせて左足を後ろに着地し、左手を少し引き下げる。左手の動きを止めないよう注意。また右手の動きも止めないよう注意。

 


動作順序 図44
体  
重心を左足に移しながら、体を左に回す。
 左足踵を着地させ、足先を約45°外側に向ける。
右足踵を回して、足先を前方に向け、踵を持ちあげて虚歩になる。
右手を前に推し出して手首を沈め、掌心を前に向ける。
指先は目の高さを越えない。左手を左股関節の横に弧を描いて引き下げる。掌心を上に向ける。
前方を見る。

 

動作要領 図44
さらに上体を左に回すのにあわせて、重心を左足に移して「虚歩」にし、右手を前方胸前に推し出して、手首を沈めて座腕にし「推掌」を行う。
左手は引きさげて左股関節の前に下ろし、肘を沈めて腕を弧形にし、掌心を上に向けて、掌背と前腕部で下を押える。
肩を沈め、胸はゆるめてわずかに含み、背中を伸びやかに広げる。
右腕は前方に、左腕は後方に、下方に向けて分け開く。勁力は、右手の掌根に達する。右手が前方に推す力と、左手が肘を沈めて、前腕部と掌背で下を押える力のバランスを保つ。
頭部を持ち上げ、背を伸びやかにし、臀部を収めて、上体は前方斜め左に向けて、中正にする。
虚歩の姿勢を正確にとり、重心の虚実をはっきりさせることに注意をはらう。股関節を折り込んで沈め、右脚はゆるめて、膝をわずかに曲げた状態を保つ。
左膝が左足先の方向(45°)より内側に入らないようにする。重心は左足裏の前部、内側ではなく、踵寄り、外側にかけるように心がけて全面着地し、安定させる。

注意事項 図44
上体はやや左斜め前向きであり、正面に向けない。臀部を突き出して上体を前傾させたり、反対に、股関節を伸ばして、後ろに傾いたりしない。
左足先を斜め前方(約45°)に保つ。足先を開き過ぎたり、左膝が内側に入ったりしないよう注意。
両足が前後に交差しないよう、横幅(約5~10cm)をとり、虚歩の歩型を作る。
右足は足先を軸にして踵を回し、正面にむける。
右足首をゆるめておくこと。踵を少し持ちあげ、足裏前部を床につける。足先と膝をまっすぐ前方に向ける。
右膝を伸ばして突っ張ると、股関節が緊張し、臀部を後ろに突き出したり、上体が前傾するので、必ず膝をゆるめて少し曲げておくことが必要。
右手は前にまっすぐ推して、肘を沈めて手首を座腕にし、指先は目の高さを越えない。左手を股関節のそばへ引きさげる時は、肘を沈めることに重点を置く。手首を硬くして「折腕」にしない。
図42、43は、手法、身法は「合」であるが、図43の「退歩」はすみやかに、軽快に行い、図44でゆつくりと重心を移動させること。


図41~44の「退歩」の歩法は、軽快にスムーズに行い、重心の虚実を明確にして、腰を軸として上体を右から左へと回してゆく動きにあわせて行う。
特に、「退歩」の途中で立ちあがらないようにしっかりと前脚の膝を曲げて重心を支え、主体が中正を保って座ったまま床面に平行に後退するように行い、余分な起伏が無いように滑らかに行う。
「重心の虚実」とは、この場合、 ―方の足で重心を支える時はしっかりと支え、もう一方の足に重心を移す時ははっきりと移すことである。図43では右足で重心を安定して保持し、図44ではっきりと移すこと。
倒巻肱の動作は、体の回転と手・足の動作を協調させ適切に組み合わせることが求められる。
図42で右手と左足を収め、図43で左足を退歩し、図44で重心を移しながら、右手で推し、左手で引き押える動作を行うが、これらの動作は、すべて、体を少しずつ左に回してゆきながら行う。初心者は、最後の図44の動作で、体を回さず、単に重心を移すだけの動作を行うことが多いが、これでは全身を協調させ、勁力を伝えることができない。
体を少しずつ回しながら、重心を移すことと、両手の動作を組み合わせて行わなければならない。
図40~41は「開」の動作、図42~44は「合」の動作である。「開」は伸びやかに、ゆつたりとしてなおかつ、軽快に行う。「合」の動作は沈着にゆっくりと、意識を集中して行う。図42で引き寄せた足は、すみやかに図43の退歩に移して停滞しないように気を配る。
太極拳の一式一式の動作はそれぞれ「開、合」と 1虚、実」が組み合わさり、ある時は「開=虚、合=実」であったり、またある時は「開=実、合=虚」であったりする。倒巻肱は「開=虚、合=実」の動作であり、「開」は軽快、「合」は沈着なリズムで行う。
「合」を沈着に行うためには、重心は図43で安定して保持し、図44でコントロールしながらゆっくりと移動させることが大切である。

動作順序 図49~52
図41~44と同じ

動作要領 図49~52
6.左右倒巻肱(3回目)
図41~44と同様の要領で行う。

動作順序 図53~56
図45から48と同じ
動作要領
6.左右倒巻肱(4回目)
図45~48と同様の要領で行う。